かの有名な、シルベスタースタローン主演のボクシング映画「ロッキー」。
NHKBSでそのロッキーを全シリーズ六夜連続で放映するというのでなんとなく見たのですが……。
独特の感動がありました。
圧倒的リアリティー
すごいのは、一作目から六作目にかけてリアルに三十年もの時間が経過していることです。
一作目ではピチピチに若くて張りがあったロッキー(1976年の公開当時30歳)の筋肉も、三十年後(2006年)の最終作ではやはり年齢を感じさせる雰囲気になっています。↓
その自然な肉体的変化が、物語に圧倒的なリアリティーを与えています。付け焼き刃の、特殊メイクで作った老体ではないのです。本物の、三十年かかってできあがった、年を取ったロッキーの体なのです。
作品内で少しずつ年を重ね、実績も積み上げていったロッキーが、引退してもなお「自分の中の野獣が消えない」と泣いたとき、映画や演技というワクを超えて、ロッキーという人間がまさにそこに「在る」ような気がしました。
負ける予感への悲しさ
シリーズ5作目までは、なんだかんだ言って最後には勝つロッキーの姿がありました。だからこそ話が次の作品につながっていきました。
しかし最終作はどうなるのだろう? 見る前から私は不安でした。もし勝って終わるのならば、「ファイナル」にはならないのではないか。だったら負けるのだろうか? しかし、あんなに強かったロッキーが負ける姿を見たくない……。
そのときに私を救ったのが、脚本がシルベスタースタローンであるという事実です。彼はロッキー本人です。最終作の筋書きは、ロッキーが納得して決めたもの。ロッキーが良いなら、それでいい。
そして最終作を見終えて、少し切なかったけれど、これがロッキーの人生なんだと納得できました。
1~6でどれが好きか
そしてロッキーシリーズを見終えてから少し経った8月27日。オリンピック女子レスリング48㎏級金メダリストの小原 日登美選手がゲストで出演するというので「SMAP×SMAP」を見ました。
すると、小原選手、「ロッキーに魅せられた」というではありませんか。金メダルが確定したときは、ご主人に向かって「エイドリアーン!」と叫びたかったとも。(エイドリアンはロッキーの妻の名)
特にロッキー4がお好きなんだとか。4は、親友の弔い合戦的ストーリーです。ロッキーシリーズの中でどの作品が好きかということでもなにかその人の個性がうかがい知れるようで興味深いです。
私は、かたくななエイドリアンがロッキーに心を開いていくドキドキ感が見ていて燃える「ロッキー1」が一番好きです。ロッキーもけっこう押せ押せなんですよ。エイドリアンが「帰る」って言ってるのにかなり強引に家に招き入れるし……(笑)。
エイドリアンのメガネを外して、綺麗な目だ、なんていうくだりは、普段は木訥なロッキーなだけにキャーッという感じです(笑)。